小学校の時に通っていた料理教室で、毎年6月はパンづくりでした。
パンダやハリネズミなど好きな形のパンを作るのが楽しかったのを思い出し、家で作ってみるとその手作りパンの味気なくてまずいこと。。。
パン屋さんのパンはあんなにおいしいのに、同じ焼きたてでもおうちパンってどうしてこんなに味がなくて美味しくないのでしょう^^;
そう思って色々調べて試行錯誤してみた結果、その原因は作り方(過発酵)にありました。
「手作りパンがまずいのは使う原料のせいかと思って、それなりの原料をそろえてみたけどいまいち」
そんな方は、高い原料を探す前に「過発酵を防ぐ作り方」を見直してみるといいかもしれません。
Contents
おうちパンがまずい原因
ここで言う「まずい」というのは「味がないこと」。
味のしないパンができる原因とパン作りの工程を確認していきましょう。
パンの味がしないよくある原因
おいしいパンは、噛むほどに出てくるほんのりとした甘みや旨味、香ばしい香りが感じられます。
それが味気なくまずいパンになってしまう要因はいくつか考えられます。
・原材料(質/レシピ・量)
・こね方
・発酵管理
・焼き方
この中でもズバリ、味がしないパンができる失敗の多くは「過発酵」と考えられます。
一見、原材料は味に直結しているように思いますよね。
ところが、おいしいパンを作る過程で見逃せないのは「発酵」という工程です。
発酵というのは、生きた微生物であるパン酵母(イースト)の作用により原材料成分が化学変化してパンの味を決定する重要な工程です。
どんなに良い原料を使っても発酵管理ができていなかったら味は台無し。
趣味で手作りパンを作るなら、まずは発酵をマスターすることがおいしいパンを作る第一歩といえるでしょう。
その他の要素であるこね方や焼き方は、主にパンのふくらみや固さの決め手となりますが、パンの味にも影響を与えます。
発酵管理がいかに影響力があるのか、次にパン作りの工程を確認していきます。
パン作りの工程
どのような種類のパンでも大体共通しているパン作りの工程は次のとおりです。
①原材料の計量
②生地をこねる
③一次発酵
④分割、ベンチタイム
⑤形成
⑥二次発酵
⑦焼成
この中で意図的に「発酵」のために時間を取っているのは③一次発酵と⑥二次発酵ですね。
ですが、発酵を行うパン酵母(イースト)は生き物。
原材料を混ぜ合わせた時から(正確に言うと混ぜ合わせる前からも)常に活動しています。
原材料の配合割合、生地をこねる刺激、外部環境の温度、工程①~⑥までにかかる時間すべてが、パン酵母の活動力に影響します。
発酵をマスターするためには発酵の工程だけでなく、すべての工程で発酵が進行していくことを意識する必要があるのです。
この難しさが、手作りパンがまずい原因の多くは発酵管理にあるという所以なんですね。
過発酵でパンがまずくなる理由
過発酵になってしまうとなぜ味気なくなるのでしょうか?
パンの味を決める要素は多数あり複雑ですが、その一つに糖由来の甘味があります。
パン作りをする方ならもうご存じかと思いますが、発酵とは、酵母が糖を分解し、炭酸ガスとアルコールを産生する工程のこと。
産生した炭酸ガスをグルテン膜が閉じ込めることでパンがふんわりと膨らみます。
つまり、発酵はパンを膨らませるための炭酸ガスを産生するために必須ではありますが、同時に甘味のもとである糖を減少させてしまうということ。
過発酵になると甘味を与える糖を分解し過ぎてしまうため、パンがまずくなるのです。
したがって、発酵は過不足なく適度なタイミングを見極めるのが重要になります。
おうちパンをおいしくする対策①発酵の見極め
おいしい手作りパンを作るためには発酵管理が重要であるということが分かりました。
季節(温度・湿度)やこね方によってパン酵母の活動性が変わるので、レシピで指定された時間にとらわれず、発酵の最適なタイミングを見極める必要があります。
適切な発酵時間は、見た目の観察とフィンガーチェックで見極めます。
一次発酵と二次発酵の生地の見極めを間違わないようにしましょう。
・見た目:2倍くらいに膨らむ
・フィンガーチェック:押した部分がくぼんだまま戻らない
・見た目:一回りほど膨らむ
・フィンガーチェック:表面を軽く押すと弾力がある
・見た目:1.5~2倍くらいに膨らむ
・フィンガーチェック:表面を押すと指のあとが少し残る
おうちパンをおいしくする対策②過発酵を防ぐ
手作りパンが味気なくなってしまう原因として多い過発酵。
ありがちな要因と対策法を確認していきます。
湯せん発酵は温度管理に注意
湯せんによる発酵は、実は過発酵になってしまっているのに、気づきにくいパターンです。
湯せんで発酵させた場合、湯せんの温度が高くて生地の下半分だけ過発酵になることがあります。
湯せんは温度管理が難しいため、温度を上げすぎずじっくりと待つ覚悟をしましょう!
成形で触りすぎない/こねすぎない
小学生の時の料理教室で作ったパンがまずかった原因は確実にこれではないでしょうか。
子供たちは好きな形のパンを作るため、粘土のように生地を触りまくります。
もしかしたら子供は手の体温も高かったかもしれません。
こねる刺激と体温で発酵が進み、決められた発酵時間やベンチタイムを守って作っても過発酵が進んでいた可能性が高いです。
こねる工程や成形の際は、目標イメージを定めてから手早く作業しましょう。
発酵時間が長い
発酵度合いはこねる時間や室温などの環境要因に左右されます。
レシピで指定されている発酵時間はあくまで目安と考え、見た目とフィンガーチェックで判断するようにしましょう。
イーストが多い/発酵温度が高い
簡単に作れるパンレシピなどでは、イーストの分量を多くしたり高めの発酵温度で短時間で作れるようになっている場合があります。
これでもパンを作ることはできますが、発酵時間は長くした方が生地が熟成されおいしいパンができます。
一般的には、ドライイーストは粉量に対して2%、一次発酵は30℃で30分~1時間、二次発酵は40℃で20分が目安です。
ドライイーストが2%ということは小麦粉250の時にドライイーストが5gですね。
これよりイースト量が多かったり発酵時間が長い場合は、レシピを見直してみましょう。
夏場はクーラーの効いた部屋で
同じレシピで作っても、夏場などで外気温が高いと発酵が進みすぎてしまう場合があります。
外気温が高いことに加え、オーブンの使用などで室温が高くなりがちです。
冬場に温度が上がりにくくて発酵に時間がかかるのは修正が効きますが、過発酵になってしまったら取り返しがつきません。
夏場にパンを作るときはクーラーの効いた部屋で行うようにしましょう。
まとめ
おうちパンがまずい原因によくある、過発酵の原因と対策をご紹介しました。
おいしい手作りパンを作るには、まず過発酵をいかに防ぐかがポイントです。
一次発酵や二次発酵などの発酵工程だけでなく、全工程で発酵は進行していることを意識してパン作りに取り組みましょう。
今振り返ると料理教室のパン作り回が毎年6月だったのも納得です。
暑すぎる夏や寒すぎる冬は発酵が適度に進まず管理が難しかったのではないでしょうか。
せっかく美味しく作った手作りパンも保存を方法を間違えると台無しに。
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